ロゴに込めた想い
株式会社⼀⽂のある⿅児島県南九州市は、市町村単位でのお茶の⽣産量⽇本⼀を誇る優良産地です。この豊かな地で育まれる知覧茶の⽣産・品質を守り、さらに⾼めて産地ブランドとして未来に伝えたい。
「知覧茶⽴志伝」は、知覧茶の輝く未来を志し、⽴ち上がる仲間達の物語を表したブランド名です。
その歩みの核となる想い「温故茶新」は、お茶の本質を⾒つめ直す温故知新の精神。古き良きお茶⽂化を敬い、新しさを調和させ、知覧茶の未来を切り拓くという願いが込められています。
創業者・折尾⼀⽂から受け継いだ、品質へのこだわり、柔軟に学ぶ姿勢、⼈とのつながりの⼤切さといった「KAZUFUMI SPIRITS」を胸に、⼼をひとつにする⼀杯に研鑽を重ねて参ります。
100 年先も知覧茶に憩う笑顔がありますように。今⽇も茶園には真摯にお茶に向き合う仲間の活気が溢れます。
製茶編
生葉は生きもの。
だから丁寧に急がず
茶葉の計量
畑で摘まれた生葉は、工場に到着するとトラックごと計量します。できるだけ早く次の工程へ進めることで、摘みたての鮮度を守っています。
生産の管理
生葉はとてもデリケートです。風とやさしい霧を当てながら、生葉を冷やして管理しています。風だけを当ててしまうと葉が乾きすぎてしまうため、霧の量や時間を細かく調整しながら、青みとみずみずしさを保ちます。生葉はすぐに処理を信条に、どんなに遅くとも12時間以内に製造することを徹底しています。

木のぬくもりで守る、
茶葉の鮮度。
栽生葉の保管には、あえて昔ながらの創業当時からの木製コンテナを使っています。最近は大容量の鉄製コンテナが主流ですが、木製コンテナには名前どおり木製の小枠の仕切りがあり、生葉を品種や状態ごとに分けて丁寧に管理できます。霧の当て方も細かく調整できるため、生葉が傷みにくく、仕上がりの香りにも違いが出ます。

蒸しで茶の葉に命を入れ、
乾燥でその命を整える。
蒸し工程
製造工程の中でいちばん大切な工程です。私たちは、仕上がりの約80%は「生葉」と「蒸し」で決まると考えています。そのため、後半の工程を丁寧に詰めて整えながら、生葉と蒸しにしっかり力を注ぐ製造を理想としています。蒸し加減は、生葉の状態を五感で観察。葉がよく広がっている生葉ほど、蒸しは早く進みます。

蒸しは製造工程の中で唯一、
水分を加える工程です。
蒸した直後の茶葉は水分が約40%あり、その後、揉みながら乾かし、最終的には約5%まで水分を落とします。蒸しを強くすると水分量が増え、葉の色はやや黄色味を帯びます。しっとりした濃緑の茶葉を手に取って、瞬時の判断を下す。この微妙な変化を見極めることが、品質を左右します。
蒸し加減は、生葉を流す量、蒸気量や圧力、蒸し機の回転、傾斜角度など、さまざまな要素を組み合わせて調整します。茶工房には管理者が3名いますが、蒸しの調整方法は三者三様。それぞれの経験と感覚を活かしながら、その日の生葉に最も合う蒸しを行っています。

乾かしすぎず、乾かさなさすぎず。
― 茶葉の質を見極める工程 ―
乾燥・葉打行程
実は、良い茶葉ほど乾きにくいという特徴があります。そのため、乾き具合を見ながら、火加減や時間を細かく調整しています。手で触り、香りを吟味し、目で確かめる。ここでも頼りになるのは、長年の経験と、茶葉の変化を感じ取る感覚です。乾燥と葉打の工程では、茶葉の量を重さではなく“かさ(量)”で計測しています。多すぎると乾きにくく、少なすぎると乾きすぎるのです。

茶の命を、
葉のすみずみまで行き渡らせる。
揉捻は茶葉の質をそのまま映し出す工程でもあります。良い茶葉ほど、しっかりとよれて、かさ張りません。茶葉に圧とねじりを加えながら、葉の中の水分を均一に行き渡らせる工程です。

手もみの感覚を、再現。
精揉(せいじゅう)
精揉機は、職人の手もみを再現した機械です。ここでは、茶葉の形を整えながら、香りと見た目を仕上げていきます。茶葉の動きや締まり具合を見ながら職人の眼で見て調整することで、手揉みの良さを目指します。

安心と品質は、見えない工程で決まる。
異物除去を一つひとつ丁寧に積み重ねることで、欠陥の少ない、安定した品質のお茶づくりにつながっています。
金属除去
複数のマグネットを使って、何段階にも分けて確認しています。皆さんに安心安全な茶葉を提供するため、目に見えない部分へ手と気を配ります。確実にチェックを重ねる工程です。
ふるい選別
茶葉の大きさや形をそろえるため、目の細かいふるいを使って選別を行います。細かすぎる葉や粉状の部分を取り除くことで、見た目だけでなく、味や抽出の安定性も整えていきます。
色別選別
仕上げの工程では、白っぽい葉茎を取り除く色別選別も行っています。色のばらつきを抑えることで、水色(すいしょく)や香りの均一化につながります。見えない部分こそ、丁寧に最後まで、安心の確認を行う仕上げは大きな信頼につながっています。
総仕上げは高い香り、確かな味、揃った水色。
三拍子揃った職人技。
合組(ごうぐみ)
合組は「問屋さんの仕事」と言われることもありますが、私たちはここまでを製造の責任と考えています。合組では、本茶といって形・大きさ・色・味のバランスがそろった“主役”となる茶葉に2台、出物といって味や香りは良くても、形やサイズの違いによって分けられたものに1台の機械を使い分けています。仕上げごとに出物の出現率を必ず確認し、品質の向上を常に目指します。その結果が専門家である問屋さんの信頼や評価につながっていると感じています。
長年の職人技で蒸しで茶の命を入れ、乾燥で整え、揉んで行き渡らせ、最後まで責任を持つ。すべてが揃う瞬間はお茶を育むところから始まっています。ひとつひとつを丁寧に大切に、時には瞬時の判断で。日々鍛錬とたゆまぬ努力を積み重ねて一貫したお茶づくりを皆で目指しています。

茶畑編
薫りは立ち、旨みは静かに広がり
飲み終えたあと、ふと余韻が残る。
そんな茶畑の時間を封じ込めた一杯を
一杯のお茶は、畑の静けさから生まれます。
踏みしめた土の感触、根が張る深さ、枝の伸びる方向。
そのすべてが、まだ形のない味を、少しずつ育てています。
大切にしているのは、芽がそろい、同じ呼吸で伸びていくこと。
その年の空気や雨を受け止めながら、畑に流れる空気や湿り気、
そのわずかな変化に五感を澄ましながら
畑が「今だ」と語りかけてくる瞬間を大切に茶の樹に鋏を入れてゆきます。
静かで一見すると控えめな茶の樹。
その姿と薫り高いひと雫が結びついた瞬間、畑の見方が変わりました。
以来、茶畑と製品を往復しながら、両者を一本の線でつなぐ茶づくりを続けています。
薫りは立ち、旨みは静かに広がり、飲み終えたあと、ふと余韻が残る。
そんな茶畑の時間を封じ込めた一杯を皆さまのもとへお届けできれば幸いです。
—栽培哲学 その1—畑の姿が、茶の姿になる。
栽培に向き合う中で、茶畑の姿から出来上がった煎茶の姿を結びつけられることの大切さに気づきました。かつては私自身、枝が伸び元気に見える茶畑こそ良い茶になると信じていましたが、結果は伴いませんでした。転機は、良い製品を生む農家の畑を見たことです。そこには、細かく整えられ静かな佇まいの畑があり、「この畑のこの芽が、この一杯になる」と腑に落ちました。畑と製品を結びつけて考えられるようになり、畑に出たいと父に願い出たものの激しく衝突。私は管理作業こそしてきましたが、最も重要な「仕立て」は未経験。それでも、畑を見続け、本で学び、完成するお茶の姿は明確に思い描けていました。
最終的に畑を任され、重圧の中で結果を出してきました。
畑にも製造にも、誰にも譲れないこだわりがある。「やっても変わらない」と言われることほど、実際にやった者にしか分からない。その確信が、今の茶づくりの軸になっています。香りと旨みを宿す美しい一杯につながると信じ、茶畑と製茶を往復する茶づくりを続けています。

—栽培哲学 その2—一本の力、無数の美しさ。
栽培に向き合う中で、茶畑の姿から出来上がった煎茶の姿を結びつけられることの大切さに気づきました。かつては私自身、枝が伸び元気に見える茶畑こそ良い茶になると信じていましたが、結果は伴いませんでした。転機は、良い製品を生む農家の畑を見たことです。そこには、細かく整えられ静かな佇まいの畑があり、「この畑のこの芽が、この一杯になる」と腑に落ちました。畑と製品を結びつけて考えられるようになり、畑に出たいと父に願い出たものの激しく衝突。私は管理作業こそしてきましたが、最も重要な「仕立て」は未経験。それでも、畑を見続け、本で学び、完成するお茶の姿は明確に思い描けていました。
最終的に畑を任され、重圧の中で結果を出してきました。
畑にも製造にも、誰にも譲れないこだわりがある。「やっても変わらない」と言われることほど、実際にやった者にしか分からない。その確信が、今の茶づくりの軸になっています。香りと旨みを宿す美しい一杯につながると信じ、茶畑と製茶を往復する茶づくりを続けています。

—栽培哲学 その3—日々の積み重ねが導く究極の芽揃い。
やぶきたは芽重、あさつゆは芽数と、品種特性もふまえて仕立てています。私たちのこだわりは芽数・芽重を超えた「芽揃い」。芽重型であっても芽が揃った茶畑にするには高い技術力が必要です。摘採(茶の葉を摘むこと)は年柄や気候、気温や湿度を見極め、茶の樹に最適な土と環境を整えます。芽が出るまで、いくつもの季節や年月を積み重ねて茶の芽を育んでいるのです。匠の技と判断力、そして学びが大きな力になるのです。
芽揃いとは、茶畑に出てくる新芽の高さ・大きさ・開き具合が均一に揃っている状態を指します。見た目が整うだけでなく、摘採(茶の葉を摘むこと)や仕上がりの品質を左右する非常に重要な要素です。
芽が揃っていると、同じタイミングで摘採できるため、硬い芽や若すぎる芽が混ざりにくくなります。その結果、製茶後の色・香り・味が秀で、水色やヨリ(茶葉が細く締まり、針のような形状になること)も安定します。

—栽培哲学 その4—切磋琢磨!一粒の配合にまで、茶園の哲学が宿っています。
メーカーに配合を依頼し、オリジナルの配合肥料を使用しています。表記だけでは中身が分からないため、配合内容を明確にした透明性の高い肥料を厳選。また緩効性に優れる尿素を重視し、硫安主体のものとは一線を画しています。
有機質肥料では魚粕や魚粉が理想ですが、価格面が課題となっています。一文の指定配合のオリジナル肥料は製茶工場に生葉を持ち込む農家にも分けています。系列農家でとても勉強している人がいて、肥料設計が全く違う。実際にその人のお茶の方が良い仕上がりだったので、大いに学ばせてもらったこともあります。正解がない世界なので、お茶農家同士の学び合いも大切にしています。施肥に正解はなく、結果を見て判断する。その積み重ねで、十数年の歳月をかけて、ようやく方向性を固めてきました。
